平成30年7月の豪雨による西日本一帯に被害をもたらした大規模災害が激甚災害に指定されました。
過去5年間に激甚災害に指定された災害は19件、1年に3~4件に及びます。
日本全国どこで発生しても不思議でない災害への防災意識と備えについて考えてみます。
増え続ける激甚災害
全国各地で発生する災害の中でも、地震による家屋の倒壊や台風の暴風雨による災害、梅雨前線の線状降水帯による豪雨災害等、大規模に及ぶ激甚災害が近年、増え続けています。
地球温暖化による異常気象が常態化しつつあり、これまでの常識を超えた防災意識を持ち、備えをしなければ膨大な復旧作業に追われ、次第に国土が荒廃して行かないとも限りません。
激甚災害とは
そもそも、激甚災害とはどういった災害を示すのでしょうか?
激甚災害とは、地震や台風などの災害が発生した場合に、被害が大規模に及び、被災地の災害復旧事業等に国庫補助で被災者や被災地域に助成や財政援助が行われる特別措置です。
激甚災害指定基準や局地激甚災害指定基準が定められている、激甚災害法に基づいて政令で指定されます。
法律に基づいて国庫負担で財政援助を行う甚大な災害に適用される特別措置を示しています。
過去5年間に指定された激甚災害
内閣府の防災情報のページで、過去5年の激甚災害の指定状況一覧を閲覧する事が出来ますが、簡単にまとめてみました。
災害名:梅雨前線・台風第4号
主な被災地:福岡県・熊本県・大分県
災害名:梅雨前線等・台風第4号・台風第7号
主な被災地:岩手県・山形県・島根県・山口県
災害名:豪雨
主な被災地:島根県
災害名:台風第18号
主な被災地:福井県・滋賀県・京都府
災害名:台風第26号
主な被災地:東京都
災害名:梅雨前線・台風第8号
主な被災地:長野県・宮崎県
災害名:台風第11号・台風第12号・前線による豪雨
主な被災地:北海道・京都府・兵庫県・大阪府・奈良県・広島県・徳島県・愛媛県・高知県
災害名:台風第19号
主な被災地:兵庫県
災害名:平成26年11月22日の地震
主な被災地:長野県
災害名:梅雨前線・台風第9号・台風第11号・台風第12号
主な被災地:熊本県
災害名:台風第15号
主な被災地:三重県
災害名:台風第18号等
主な被災地:宮城県・福島県・茨城県・栃木県
災害名:平成28年熊本地震
主な被災地:熊本県等
災害名:梅雨前線
主な被災地:熊本県・宮崎県
災害名:台風第7号・台風第11号・台風第9号・台風第10号等
主な被災地:北海道・岩手県
災害名:台風第16号
主な被災地:宮崎県・鹿児島県
災害名:梅雨前線(九州北部豪雨等)、台風第3号
主な被災地:福岡県・大分県・秋田県
災害名:台風第18号
主な被災地:京都府・愛媛県・大分県
災害名:台風第21号
主な被災地:新潟県、三重県、近畿地方
過去5年に平成30年7月豪雨を追加
災害名:梅雨前線(西日本豪雨等)
主な被災地:岐阜県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県等
以上20件の激甚災害指定がありました。
激甚災害の指定状況は6月から10月に集中しており、台風や梅雨前線による暴風雨及び豪雨による災害が大半を占めています。
主な被災地は全国各地に渡りますが、特に西日本で激甚災害指定が多い事が分かります。
台風が上陸しやすい事や梅雨前線が停滞しやすい事が原因と思われます。
地震による激甚災害指定は平成26年の長野県、平成28年の熊本地震の2件です。
記憶に新しい平成30年6月18日の大阪府北部を震源とする地震は激甚災害指定に至っていません。
災害から身を護る防災意識
西日本豪雨による災害から分かる様に、これまでの常識を覆す被害状況は、身を護る防災意識のレベルを上げる必要性があります。
個人から地方自治体、国、全てにおいて意識の向上が望まれます。
防災意識の甘さ
西日本豪雨による災害では、これまで全国で住みやすい県として上位に挙げられていた岡山県も甚大な被害に遭いました。
これまで、岡山県は瀬戸内の温暖な気候と地震や災害の少ない県として、移住地の人気県でした。
砂防ダムの点検や改修を長年に渡って放置していた旨の報道から、自治体自身に災害の少ない県のおごりや油断があったのかもしれません。
防災意識は身を持って経験したり、復旧に参加した人でない限り、やがて意識が薄れて行きます。
災害復旧などの報道がされている間に防災意識の向上を図っておく事が望まれます。
防災意識向上への問いかけと再確認
西日本豪雨と同じ様な災害があなたの地域で発生した場合を想定した事がありますか?
激甚災害に指定された被災者全ての方が、初めての経験なのですよ!
防災サイレンや防災マイク、近所の人や自警消防団、防災無線や電話、通信メールやテレビ等
公共施設が避難場所の場合、浸水しやすい地域の場合もあります。
民間施設やマンション等、とっさに避難できる場所の把握が重要です。
火を消す。テーブルや机の下に避難する。比較的安全と思えるトイレや風呂等に避難する等。
懐中電灯や携帯ラジオ、ヘルメット、手袋、靴、タオル、非常食、水等を入れた防災用リュック等。
未だ考えられますが、自分の地域に即した避難方法を考えてみて下さい。
災害別住宅内での避難場所
避難が遅れた場合や困難な場合、住宅内での避難場所を把握しておいて下さい。
1階は土砂が流れ込みやすく危険です。
2階の山側から離れた部屋で防災グッズを持って待機して下さい。
道路面が膝位まで浸水していれば移動が困難になります。
水位が一気に上る事があります。
速やかに2階に避難して下さい。
竜巻警報が出ている地域で、急に真っ暗になり、雷や風が吹き出した場合。
2階は屋根が飛ばされたり、窓ガラスが割れる危険性があります。
1階の住宅の中央部分の部屋で待機して下さい。
余裕があれば、雨戸やカーテンを閉めて下さい。
竜巻と同じく、2階は危険です。
予め、2階の雨戸やカーテンを閉め、1階で待機して下さい。
揺れが激しかった場合、直ぐに余震が来る事を考え、平屋部分の狭い部屋か直ぐに外に出られる場所で待機して下さい。
大阪府北部を震源とする地震より
平成30年6月18日7:58分に大阪府北部を震源とする地震が発生し、登校中の小学生が学校のブロック塀の下敷きになり亡くなった事は記憶に残る痛ましい災害でした。
私は、別サイトでブロック塀が公共建築物の盲点と当日中に投稿しましたが、その後、各地で見直し点検され、危険なブロック塀の撤去工事が着工されています。
只、危険なのはブロック塀だけではありません。
受水槽や倉庫、物置等公共物でありながら危険な箇所は沢山存在します。
ブロック塀に留まらず、早期の危険物総点検が望まれます。
リフォーム予定がある場合の一工夫
リフォームの際に業者に予め要望や確認を行って下さい。
逃げ遅れたり、高齢者や体の不自由な方が避難困難な場合を想定し、2階屋根裏(ロフト)に高齢者でも上がれるスライドはしご(階段)を設け、ロフト部屋や避難スペースを設ける。
はしごやロフト部屋が困難な場合、押入れ天井から2階屋根裏に上がりやすく改修しておく。
西日本豪雨の際、高齢者が屋根の上に避難されている光景は見るのも辛かったです。
床下に泥が入り込むと、床を全て撤去して泥を出し、洗い流す必要があります。
床の撤去を免れるためにも、1部屋1箇所以上の床下点検口を設けて下さい。
地震の際に周囲に危険を及ぼす箇所がないか、リフォーム業者に点検を依頼して下さい。
地震の際に家具や書棚が転倒して下敷きにならない様、家具の固定をリフォーム業者に依頼して下さい。
マンションの壁や石膏ボード下地の壁では、地震の揺れに耐える固定はプロに依頼するのが懸命です。
最後に
私は幼い頃、生まれ育った地域で土砂崩れで知り合いが亡くなったり、川の濁流で橋が流される経験をした為、誰よりも自然災害の怖さと防災意識を強く持っています。
只、現在住んでいる地域は災害も少なく、これまでは安全な地域でした。
そのためか、自治体も住民も防災意識が低く、もしもの時の初期対応に不安を感じています。
家族で個々に防災意識が違えば、足を引っ張る原因になりかねません。
避難対応の違いが生死を別けないとも限りません。